展覧会の記録|exhibition archives 2022

「野中 梓 展」

2022年11月7日(月)〜11月20日(日) The Terminal KYOTO

 

あるとき自宅の壁が、時間帯や天候や周りに置いている物の影響などによって様々な色味に変わることが気になった。油絵具で絵を描く・絵具の色で対象を見るという経験を持っていたために、見つけられた光景だと思っている。そうしたささやかな変化に出会えることはとても嬉しい。

今回の個展では、壁面や冷蔵庫、テレビ画面など、自宅にある平らなものをモチーフにした絵画作品を展示する。

 

2022年11月 野中 梓



「野中 梓 展」

2022年10月10日(月)〜10月15日(土) Oギャラリーeyes

 

油絵具で絵を描くことを前提に、何かの表面を眺める。毎日目にする物や景色のはずなのに、いざ描こうと思って見てみるとその複雑な様相に驚く。赤みと緑みを両方感じるような矛盾も起こる。パレット上でそれらしく色を作ることができても、キャンバスに一層塗っただけでは物足りない。塗り重ねた絵具と、徐々に噛み合っていく溶き油と、それぞれの特性があるからこそ感覚を形にすることが出来る。

 

今回は、2020年頃から始めた自宅の壁面を見ながら描くシリーズに加え、最近描き始めたテレビ画面(ガラス基板)に映り込む室内風景のシリーズを展示する。テレビは用途が明確で通常は何らかの番組を見るための道具であり、消した状態だとただの黒い板である。しかしある時、風にそよぐ洗濯物や木漏れ日がテレビ画面に映り込む様子を見て、綺麗だなと感じた。

 

それまでなんともなかったものが、特別なものに変わること。自分の中にある何かをひねり出すのではなく、自分の外にある何かに出会っていくこと。そんな瞬間を大事にしながらこれからも絵を描いていきたいと思う。

 

2022年10月 野中 梓



「ドラッグ&ドロップ 2022」

2022年1月24日(月)〜1月29日(日) Oギャラリーeyes

 

絵を描くとき、描画材料の存在を意識することによって得られる眺めがある。

感覚が振れるような、手で触らずに描く対象に触れられるような気がする時がある。

普段から、気になった物や景色をよく撮る。スマートフォンを使うのが当たり前になっていて、撮ったら撮りっぱなし、データは膨大になるいっぽうで存在感が希薄になっていく。今回の展覧会に写真作品を展示するにあたって、フィルムカメラを持って散歩をした。フィルムをカメラに装填することや、光を感じること、シャッターを押す感触、1枚1枚の仕上がりを楽しみに待つ時間などが嬉しかった。フィルムやプリントした紙の束はかさばるが、物としてそこに在るということ、その状態の愛しさは絵に似通っている。

 

2022年1月 野中 梓